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とらや「川島」

少し前ですが、とらやの和菓子の意匠でかなりしびれたものがあったのでご紹介。
川島


夕陽に照らされて輝く水面と川島(中州)をモチーフにしたもの。
見事な抽象画。

夕陽色をうまく表現した琥珀もさることながら、川島を四角くして、三色のグラデーションにして、互い違いに配置してリズム?みたいなものを醸し出してるあたり、すんばらしい。

驚いたのがこの生菓子の意匠が1711年(宝永8年、正徳元年)作だということ。

今でも充分モダンアートしてる、このセンス。素晴らしい。

とらやって、生菓子の意匠に関しては前衛的なものも意外と多く、
しかも、「お、攻めてる」と思った生菓子の意匠ほど、何百年も前のものだったりするんですよね。こういう昔の名もなき職人の「無言の前衛」みたいなの、すっごく好きです。

そういえば、以前とらやで買った西瓜の生菓子も、四角なんですよね。まるく作れけど、敢えて「四角」。このセンスがたまらないです。
とらやの季節の生菓子は長年ウォッチしてますが、この「川島」はたぶん初めて見ました。
季節の生菓子は、割と毎年出てくる「季節定番もの」をベースに、ときどき新作や、こういった「お蔵出し」的なものが出てきます。半月に一回の生菓子のラインナップ、ほんと見逃せないな、と思います。
追記
この「川島」のことをtwitterでtweetしたら、3117RTもされてしまいました。
でも、わかる。このデザインが1711年って驚きですよね。
あと、この作品(お菓子の意匠)のすごいところは、
私たちが見たことのない素晴らしい景色を思い出させることかな、と思います。
私自身、抽象画を見ているとときどきあるんですが、
見たことのないはずの大きな夕陽とか、なぜか心に浮かぶんですよね。
で、300年以上前のとらやの職人さんも、どこかの川で素敵な夕陽を見て
それをモチーフにしてお菓子を作って。で、私たちもその素敵な夕陽を共有しているような、そんな気持ちになるんですよね。
でも、おそらく、「共有したような気持ち」になっているその夕陽って、きっとどこにもない夕陽なんだろうな、と思うのです。
どこにもない夕陽なのに、共有したような気持にさせてしまう、そういう力をもったとらやの意匠って、やっぱりすごいと思います。
「川島」は2017年6月末までの限定販売。次、このお菓子に出会えるのはいつかしら。。

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