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「肉声」脚本&演技、「現な像」

「肉声」をめぐるあれこれ・・

私の中での「肉声」に関するエトセトラはまだ続いていて
先日、友人から
新潮12月号に載っていた「肉声」の脚本&縁起がかなり面白いと聞き
図書館でお取り寄せ。
いや、買って読むべきなんでしょうが、例の「手塚治虫の発掘原画」のせいで
どこも売り切れだったんですよ。
で、ようやく入手して読みました。
これがもう、めっちゃ面白くて。

朗読劇としてはいまいちだったのですが、脚本だけで読むとなんと面白いことか。

台詞としてスっと流れてしまう言葉も、テキストそれ本体で読むと言葉自体が「なるほど~」と沁みる。
短編小説として読むとかなり面白い。
と思うと同時に、脚本を書くことって本当に難しいんだなと。
台詞(言葉の音)として発することで観客の心に沁みることと、テキストで文脈を押さえながら読者の心に沁みることとの違いを実感しましたね。

あと、関係ないですが「肉声」のエロティックな描写が、同じ号に載っていた「手塚治虫のエロティカ」とも不思議とリンクしていて、読んでいてなかなか面白かったですね。
&平野さんが書いた「縁起」も、「肉声」の面白さを数倍際立たせておりました。

「縁起」には、杉本氏が堀口捨己の「旧若狭邸」にただならぬ関心を寄せていて、詳細は、杉本氏の「現な像」に記されていることが書かれておりまして。
これは読まねばと思いまして、読みましたよ。「現な像」。

旧若狭邸のことが書かれているのは「利休・モダン」というエッセイなのですが
これがもう朗読劇「肉声」を見た私にとっては、興奮モノの内容でして。

堀口捨己の旧若狭邸のプールで、元自衛官が溺死しているというニュースから始まり、杉本氏がその家を訪問するんですよね。戦前(戦中)の物資が乏しくなる時代、1939年竣工ですから、当然ながらあちこち改築されて、竣工当時のモダンさは目も当てられぬ状態になっていたこと。施主は、渋井清という美術家で、堀口捨己にもう一人の妾の家も設計させていたこと。…しかも、戦中で物資が乏しくなる時代に!

私は「元自衛官がプールで溺死」する話から始まって、竣工当時のモダンさは目も当てられぬ状態(斜陽)になる。。なんて、思わず「サンセット大通り」を連想してしまいました。
↓ビリーワイルダーの名作。ワイルダーって、ヘプバーンとかが出てて明るい映画を撮る監督ってイメージだったので、この「サンセット大通り」を観たときは衝撃を受けました。
なんて怖い映画なんだ、って。

そういえば、先日の「ロスト・ヒューマン」展@東京都写真美術館の廃墟シリーズにも「サンセット大通り」があった気がします。。

実は杉本氏の著作を読んだのは、この「現な像」が初めてだったのですが、いやー、文章がうまくて面白くて驚きました(失礼!)。
読むと、過去に観た杉本作品の文脈が分かって「なるほど、それでこの作品を・・・」と思う。
写真のほうは結構昔から見ていたので、今回著作を読みながら、文章がやたら沁みる沁みる。。
深いです。杉本氏。
ほかの著作もぜひ読んでみたいと思いました。

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