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「生きている」 佐内正史

最近アート関係で仲良くなったMさん曰く
「現代美術の作品集って、あんまり見直さないけど、写真集って何度も見直してしまうよね」
確かにその通り。
繰り返しの鑑賞に堪えうる。空気のようなものを感じられる。
そして、モチーフも、技術もありふれたもののように見えて、その作家らしさが見える、それが写真の侮れないところだと思います。

たとえばアラーキー。特に女性を撮ったときのヌメっとしたエロさとか。ああエロい視線だなあ、その視線で被写体も益々エロくなってるんだなあとか、蜷川実花でいえば、あのハデハデしい色遣いに目が行きがちだけど、特にポートレートなんか見てると、蜷川実花の感じた被写体の人間力はこんな感じなんだなあというのが分かる。

プロじゃなくても、アマチュアでもそう。たとえば、友達から自分の子どもの写真入り年賀状をもらったりするんだけど、私が面白いなーと思うのは、被写体である子どもよりも、それを見る親(私の友達)の目線なんですよね。
写真を見ていると、こういう目線で子供を見てるんだなあってそういうのが分かる。それが面白いです。

で、佐内正史の写真集「生きている」。

佐内さんは本当にありふれた風景を撮っている作家なんですが、彼の視線というか質感、空気感の表現が凄い。
それは、風景がありふれている分、凄くよく分かる。日差しのいろ、このフエルトみたいな温かい質感。
こんな写真みたことないです。

この写真集に出会ったのは20代前半だったかな。一番驚いたのが、ここに納められている情景や空気感は、私が子供時代(6歳ぐらい)に見てきたものそのままだということ。
初めてこの写真集を見たときの衝撃は忘れない。
なんでこんな情景撮れるの?って。

で、こうも思った
「もしも将来、私にパートナができたら、この写真集を見せよう」
「私が子供時代に見てきた感じてきた情景はこんな風なのよ、って言って見せよう」
と。
それぐらい如実に自分が見てきた情景を切り取った写真集でした。

「私が子供時代に見てきた感じてきた情景はこんな風なのよ、って言って見せよう」
その気持ちは今でも変わらない。

実際、(どのページかは秘密だけど)私の実家のスグ近くの写真が納められていたこともあり、個人的に凄くグっときた写真集です。

ちなみに、表紙に出てくるクンシラン。実家でもたくさん栽培していました。懐かしい。

一般的な評価が高いのも凄くうれしい。ぜひ見て欲しい写真集です。


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