
先日訪れた、ネオテニージャパンがとてもよかったので、高橋氏のコレクション専門のギャラリーである高橋コレクション日比谷へ。白金、神楽坂のギャラリーを日比谷に移しての、オープン記念展覧会です。
今回の展示は草間彌生。
草間彌生の作風をひとことでいうと襲い掛かるような水玉、突起の世界・・・かな。
高橋氏がコレクションを開始するキッカケとなった、草間彌生の赤のインフィニティ・ネット「no.27」等もあり、面白い展示でした。
個人的に気に入ったのは「インフィニティ・ネット(TWZO)」と「鏡の部屋-愛は永遠に」。
「インフィニティ・ネット(TWZO)」は、白と水色の対比が美しく、先に書いた「鈴木理策」の雪シリーズにも通じるものを感じました。「鏡の部屋-愛は永遠に」は、鏡を上手く使った「草間さんらしい」作品。
鑑賞者すら、作品にしてしまうセンスにニヤっとしてしまいます。
展覧会鑑賞後は、日比谷の広場内のコンテナ型展示スペースで、ドキュメント映画「≒草間彌生 わたし大好き」の監督、松本貴子さんと、コレクションのオーナ高橋龍太郎氏とのトークショウを鑑賞。
これがかなり面白くて!
松本さんから話される草間彌生ドキュメントの撮影裏話、実に繊細かつ乙女チックな草間彌生との微妙な距離のとりかた等、爆笑エピソード満載でしたね。
ドキュメンタリ映画は未見ですが、いつか、上映会等があればぜひみてみたいです(DVDも発売されていますが、ぜひ大きなスクリーンで見たい!)。
そして、コレクタである高橋龍太郎氏のお話がまた大変興味深くて。
まず驚いたのが、氏が思いっきり全共闘世代で、学生時代には、新宿界隈でデモに参加したり、田原総一郎のもと、映像作品(ドキュメンタリ)を作成したことがあるということ!
当然、そのころから、草間彌生のことは知っていて、いわばアートの素養があったということですね。
で、97年ごろ、偶然草間彌生の作品を入手する機会があり、前後して会田誠の作品(おそらく「紐育空爆之図」)を入手。この2つの作品を入手したことをキッカケに現代美術のコレクションを開始したとのこと。
トクショウの最後、わたしは高橋氏に「この2つの作品をキッカケに現代美術のコレクションを開始した・・・草間と会田、これらのANDがとれたとき、高橋さんの中でどんなスイッチがオンになったのですか?そのときの気持ち等を教えて下さい」と質問しました。
高橋氏は「草間彌生の作品は、みていて、無機的なのにものすごいエネルギーのうねりのようなもの、エロスのようなものを感じました。そして、会田誠の作品は、「現代美術でこんなに凄い作品があるんだ」という驚きがあって、これらの2つに出会ったとき、これからのアートの力とか可能性みたいなものに興奮していました」とおっしゃっていました。
いやー、なるほど!と思いましたね。
(ステレオタイプ的に考えてしまうのは失礼かもしれないけど)むかし学生運動していた高橋氏が、精神科医としても成功したのち、50歳を過ぎて会田誠という若者の「紐育空爆之図」を見てグっと来る。
ああ、これからのアートって凄く可能性があるんじゃないか、未来への光みたいなものがピカーと見えた。
なんか分かる気がします。
そして、高橋氏の草間彌生評がまた素晴らしくて「ピカソですら、晩年はしょぼい作品しか作れなかったのに、草間弥生は、衰えるどころか、さらに凄い作品を作り続けている。人間の未知なる可能性みたいなものを感じます」。
先ほどの会田誠作品に対する感想もしかりで、高橋氏は「人間が持つ無限の可能性、その輝き」みたいなものを信じているし、それをキャッチするために、作品を買い続けているんだろうなと思いました。
なんだか感動的なトークショウで、日曜の昼下がり、とてもよい時間を過ごせました。
感謝☆
最近のコメント