水墨画の輝き ―雪舟・等伯から鉄斎まで―@出光美術館
先週の日曜日、事務所で仕事をしてたのですが、どうにも気力が続かず、昼過ぎに仕事を切り上げて出光美術館で水墨画を見てきました。
左脳がオーバーヒート気味だったので、無理やり(?)にでも、美術館やギャラリーに行って、脳みそをクールダウンさせようという作戦です・笑
出光美術館は、昔母に手を引かれて行って以来か・・・
解説も展示もすごくしっかりしているし、展示数も疲れない程度にコンパクト。
いい美術館だなあと思いました。
今回、水墨画全般をテーマにしたものだったんですが、やはし、長谷川等伯、圧倒的に上手い。
雪舟、宗達ほか、すばらしい絵画がたくさんあったけれど、等伯の作品はホントにもう、「(作家が)見ている世界が全く違う」のが分かります。
以前このブログでも書いたのですが、日本の美術「スーパーフラット」群の中から、ぬきんでた存在です。
描きそのものはフラットなのに、濃淡で、奥行き・・というより「空気感」「湿度」を表現しています。
画素数でいうとそれほど多くない、むしろ粗な感じ、ざっと描いた感じすらするのに、その場の空気がものすごくリアルに捉えられてる。絵が上手いといえば、それきりなのですが、このディティールは凄い。
今回特に素晴らしいと思ったのが「竹鶴図屏風」(←すみません。写真が部分的で・・)
墨の濃淡で、雪景色の竹林の中の鶴が描かれているのですが、目の前に雪景色が広がっている。しかも、その場には、わんわん大雪が降っていて、その中で雪にまみれた鶴がバサバサっと動きまわっている。
そういう場面が本当に目の前に広がているような感覚に襲われました。
わたしが、とっさに思い出したのはテレビ「華麗なる一族」のラスト、木村拓哉が大雪の雪山を昇るシーン、
あるいは、昔、山形の蔵王スキー場で、スキーをしているとき大雪が降ってきて、スキーしながら前に進んでいるのかとまっているのか分からなくなる・・・ホワイトアウトしたような感覚。
そういう感覚を呼び起こすような、動きのある水墨画でした。
やっぱり等伯、いいなあ~。ひとしきり感動してしまいました。
これからも機会があればできるだけ見ておきたいと思います。
ちなみに、等伯は、来年2月に東京国立博物館で大規模な展覧会が開催されるようです。
超名作「松林図屏風」も久々に開陳されると思いますし、会期も1ヶ月程度だし、できるだけ早めに足を運ぼうと思います。
そのほか、良かったのが、バカボンドこと宮本武蔵の書画。
意外といってはなんですが、上手いんです・笑
ビックリ。絵自体も上手いし、構成も絶妙。
それと、大好きな、仙崖の書画がみられたのもよかった!
仙崖の書画、おおらかで大好きなんですよ。しりあがり寿みたいな人って昔もいたんだなって、クスっとしてしまいます。
所要時間20分程度かな。いい絵が見られたので、身体はつかれ切ってましたが、心(脳)は元気になりましたね
にしても。
最近思うのは、こうやってちょっと電車に乗り、1000円ほどの入場料を払えば、気軽に素晴らしい美術品(それも一流!)に触れられるのは幸せだなーということ。
美術品を自分で所有しなくていいし、メンテナンスも美術館の人がやってくれるんですよ!!
東京に住んでいるメリットって色々あるけど、これだけたくさんの美術品に触れられるというのは、わたしにとってとても大きなメリットです。
さて、今月は・・・
上野で、ネオテニージャパン(日本屈指の現代美術コレクター高橋氏のコレクション)を鑑賞予定。
来月は、府中美術館で開催中のディーター・ラムス(ブラウンの初期デザイナー)展+八木良太氏のワークショップに参加予定。
たのしみだなー。
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コメント
きやんきやんって(笑)
水墨画の世界にも、へたうまアートがあるのね。
投稿: ゆーぼー | 2009/06/08 07:05
ゆーぼーさん
仙崖の書画、犬の絵なんかまだマトモな方で、概ねかなりぶっとんでいます。
当時、ここまでアバンギャルドなセンスの人がいたということが驚きです。
→「仙崖」で画像検索すると沢山出てきます。
仙崖の作品を一番沢山持っているのは出光美術館、そして、マシマロで有名な石村萬盛堂の社長だったかな?
去年の仙崖展@出光美術館を見逃したことが悔やまれます。
投稿: 恵 | 2009/06/08 23:53