「秘宝館」刊行記念 都築響一ワイドショー VOL. 4
先週の金曜日、青山ブックセンター六本木店で、都築響一さんのトークショウに行ってきました。
今回は写真集「秘宝館」(←全国の秘宝館写真集)の刊行を記念してのトークショウということで、都築さん秘蔵の「秘宝館」の映像も公開!伝説の鳥羽国際秘宝館、SF未来館など、都築さんオススメの秘宝館が、生解説付きで上映。面白かったです!
ああ、最前列に陣取った甲斐があった・・・・泣
しかし、鳥羽国際秘宝館の面白さはダントツでした。
鳥羽国際秘宝館というのは、日本で一番最初に「秘宝館」を始めたところで、そのクオリティ、規模についても、おそらく、日本一・・・・いや、世界一のレベルのものなんですが、残念なことに数年前に閉館してしまったのです。都築さんは、そのうちSF未来館の展示物を一式買い取って、横浜トリエンナーレに出品。R18指定ながら、数々の出品作品の中でダントツの人気を誇り、わたしが行ったときも2時間待ちで見られなかったんです。後日、恵比寿に場所を移して「ゑびす秘宝館」として公開したときに見たのですが、これが素晴らしかった!
なんというイマジネーション!エロティックSFスペクタクルショウ!
ただのエロ、バカな展示じゃなくて、アートとして超カッコいいんです。しびれました。
たとえるなら「時計仕掛けのオレンジ」+「家畜人ヤプー」。
女性のボディも、いまどきのアニメの美少女みたいなプロポーションじゃなくて、叶恭子さんみたいに肉感的。かっこいい~。
この秘宝館を作ったのは、鳥羽の貝殻加工で財をなした松野正人さんという人らしいのですが、秘宝館のディレクションもすべて彼が行ったそうです。
そう。。。。鳥羽国際秘宝館は、彼の「等身大の妄想空間」なのです。
機会があればぜひ写真集などで見て欲しいのですが、この秘宝館の特徴は「皆が喜ぶアミューズメントパーク」ではなく、あくまで「オレが喜ぶアミューズメントパーク」であることなのです。
だからこそアート性が高いというか、ハッキリいってぶっ飛んでる。
映像解説中も、都築さんは、マネキン等をしきりに「インスタレーション」という言葉で表現していたのですが、まさにそういう表現がぴったりなんです。お腹が半分スケルトンでズラっと並んだ妊婦人形なんて、モダンアートですよ。そう、秘宝館って単なる宝島、vow系お笑いでは済まされない、高いアート性があると思うのです。わたしは、これをMomaに展示しても、全然違和感ないと思いますもん。
→ちなみに、都築さんは一昨年この「鳥羽国際秘宝館SF未来館」をルクセンブルグの近代美術館で展示したそうです。
帰りしな、都築さんサインしてもらったときに「鳥羽国際秘宝館SF未来館の展示物はどこにあるんですか」ときいたところ「埼玉の倉庫にある」とのこと。
ん~、もったいない!どこかで展示してくれないものか!
都築さん曰く「世界にもセックスミュージアムみたいなところがあるけど、それはセックスというものをインテリジェンスというオブラートに包んでいるものに過ぎない。セックスを「見世物」として、面白楽しく、アミューズメントパークとして提供してるのって日本オリジナルの文化だと思うんです」「秘宝館はいま全国で絶滅の危機に瀕しています、みなさん出来るだけ見てくださいねぇ~(ちょっとオネエ風)」
とのこと。
ん~、わたしもできることなら保護したい!
都築さんは、「秘宝館」のほかにも「イメクラ」「ラブホ」などの写真集も出しているのですが、これもねえ、いいんですよ。そこには、宝島、vow的な「アハハ、ばかだなあ」と思う気持ちもあるんですが、「アートの視線」がちゃんと入ってる。人間の妄想が爆走すると、こんなアートな空間ができるんだ、こんな文化があるんだ、と感心してしまいます。
あ、念のため言っておきますと、都築さん、もともとはマガジンハウスのアート系編集者ですから・笑、実はちゃんと正統派なところからアプローチして、こういうことにたどりついているんですよ。
「それまで光が当てられることのなかった無名の人々の生活を通して、現代の日本社会を描く」アーティストですから。
そのへん、みうらじゅんとはちょっと違います。
#やってることは似ているけど。
それにしても、都築さんの「ROADSIDE JAPAN 珍日本紀行」とか、こどものような純粋さで、「珍」なるものへ爆走する姿は感動的ですらあります。「こんなところにこんなものが!」ってみつけると、キッチリ本にして伝えてくる。
やっぱり「好き」ってすごいエネルギーだなあと改めて思いました。
関係ないけど、むかし、福島県須賀川市のCCGA現代グラフィックアートセンター(最寄駅(須賀川駅)からタクシーで約20分もかかかる美術館!)で、福田美蘭展をやったとき、都築さんも見に行ったことを知ってビックリしました。東京から、わざわざこんなに遠くまで展覧会を見に行く美術バカはわたしぐらいだと思っていたから・笑
都築さん、やっぱり凄いや、って思いましたよ。
#ちなみに、その展覧会はわざわざ遠くまで足を運んだ甲斐あって、素晴らしい内容でした。
わたしもそんな都築さんが大好きなので、これからも追いかけていきたいと思います
追記
「ROADSIDE JAPAN 珍日本紀行」映像版、自費で出すことにしたそうです。全26巻!
↓かなりセクシーな表紙です。
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コメント
おおー、秘宝館!
なんとワクワクする響き(笑)
都築さんの本、読んでみたくなりました。
それにしても、須賀川にそんなアートなスペースがあったとは・・・。
まったく知らなかった。
それこそ秘宝館!
投稿: ゆーぼー | 2009/05/11 07:20
ゆーぼーさん
秘宝館の本、かなり衝撃的だから覚悟してくださいね・笑
都築さんの本で一番有名なのは東京の部屋写真集「TOKYO STYLE」かな~。これも好きです。最初は、少し文章がついているものの方が「都築ワールド」を理解しやすいと思いますので「珍日本紀行」「地球のはぐれ方」などをオススメいたします。
須賀川の美術館は大日本印刷の社長さんがほとんど趣味でやっているとしか思えない美術館です。
ゴルフ場の側に忽然とあります。
美術館のスタッフも地元の方ばかりで、わたしが「駅からここまでタクシーで来た」って言ったら、「まあ、お電話くだされば車で迎えに行きましたのに~」と言ってくださいました。帰りは皆さんでお見送りしてもらったり。素晴らしい作品と、福島の人の温かい心に触れ、ホクホクした気持ちで美術館をあとにしたのを覚えています。
投稿: 恵 | 2009/05/11 23:11