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「風が強く吹いている」三浦しをん

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読了。

三浦しをんさんは、彼女がBUCK-TICKファンだということをキッカケとして知った作家でありますが、いや、ここまでグイグイ読者を惹きつける小説を書くとは知りませんでした。

素人同然の大学生ランナーが箱根駅伝を目指す・・・・「走る」ということ、その崇高な高みに至るまでの軌跡が描かれています。

「走るという行為は、一人寂しく取り組むものだからかそ、本当の意味でだれかとつながり、結びつくだけの力を秘めている」
「走りとは力だ。スピードではなく一人のままでだれかとつながれる強さだ」
物語の後半で、各ランナーが走るという行為を通して「みんなとのつながる」感覚を味わうくだり、スピリチュアルな意味では、これはワンネスという言葉になりましょうが、リアルな物語として読者を説得できる三浦しをんの力量、素晴らしいと思います。

また主人公の「走(かける)」が感じる「ゾーン※」体験のリアリティも凄かった。
※高い集中力がもたらす特殊な心身状態。スポーツなどで、通常では考えられないほど高いパフォーマンスを発揮する。神経は覚醒しているが、意識はふわふわと浮遊するような感覚を味わうという。
小説では初めてではないかな。ちゃんと「ゾーン体験」を書いた作品って。

走や清瀬が9区10区を力走するときの心理描写なんて、「ここまで、走る、ということの崇高な美しさを描いた小説があっただろうか・・・・」と思いながら涙涙。

とにかく、三浦しをんの底力を知りました~!!

これは、漫画の国からやってきた王女様が描いた物語。

いわゆるワンネス的な描写は「機動戦士ガンダムⅢめぐりあい宇宙」のラストシーンを想起させるし、清瀬が監督として手腕を振るい、選手の才能を開花させるあたりは「エースをねらえ!」の宗像仁を想起させる。
そして、走と清瀬の精神的つながりは、彼女の大好きなBL(ボーイズラブ)なテイストを感じる。

だから、思わず単なる小説というより「どこか漫画なイメージを持たせる」ものに仕上がっているのだと思います。

「彼女の好きなもの」を芸の肥やしにし、プロとして魅せる実力として昇華した。

しかし、彼女の作品は、いわゆるライトノベルでもなく、同人誌作品でもなく、「文学」。
「文学」を読む者の鑑賞に堪えうるものとしている。

それが凄いなあと思うのです。

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